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  展示作品中でも秀逸だったのは、ベイスマン氏の個人コレクションである、30年代から50年代の写真にトビーを潜入させ、コラージュ作品として完成させたシリーズだ。例えば、40~50年代アメリカの、ガールスカウトの団員の腕に抱かれる、トビー。同じく、ピンナップ・ガールの鼻血を見つめる、トビー。まだリッチで“理想的”だった頃の白人社会の生活スタイルを写した写真=時にはプール、時にはベッドルーム=の中で、トビーは自由自在に呼吸する。コラージュ作品を眺めれば眺めるほど、トビーがリアルなのか、写真がリアルだったのか、夢魔と現実のユーモラスなせめぎあいが、表現として浮かんでくる。
  トビーの生みの親たるべく、同じ赤いトルコ帽を被り、トビーの頭をデザインした杖を携えオープニング会場に現れたベイスマン氏。同氏の愛妻も、ゴージャスなカクテルドレスの腰元にトビーのプラッシュ・トイを飾って登場。二人とも個展に対する気合十分に、華やかに怪しげな雰囲気を演出して場を盛り上げた。
   ペインティングもドローイングもトイ制作も、ギャラリーという箱そのものや個展のオープニングでさえも、すべては「ベイスマン」というアート・ブランドにとっては、容易に手の届く表現「手段」。そのフレーキーな側面を遺憾なく発揮しつつ、自分でつくった造語を自ら名乗る「Pervasive Artist」ベイスマン氏は、このトビー・シリーズをもって何かが吹っ切れた感を呈した。次には何を引っ提げてくるのか、大胆に路線変更を遂げるのか。ファンに期待させる力をまだまだ見せつけるところに、このアーティストの凄さがある。


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